最近、会計時に「ズシリ」と重いカードを渡されることはありませんか? アメリカン・エキスプレスのセンチュリオンやプラチナ、ラグジュアリーカードなど、ステータスの高い**「金属製クレジットカード(メタルカード)」**を利用するお客様が増えています。
しかし、プラスチック製カードと同じ感覚で決済端末に通すと、**「機械から抜けなくなる」「読み取りエラーになる」**といったトラブルが起きることがあります。
この記事では、金属カードを安全に決済するための正しい手順と、端末ごとの注意点を解説します。
なぜ金属カードはトラブルになりやすい?
金属カードは、チタンやステンレスなどの素材で作られています。プラスチック製カードと比べて以下の違いがあり、これが決済端末との相性問題を引き起こします。
- 硬くて曲がらない: 端末の挿入口が狭い場合、プラスチックなら多少しなって入りますが、金属は全く曲がらないため、物理的に**「詰まり(ジャム)」**が発生します。
- 厚みの個体差: 規格内(ISO)で作られてはいますが、重量感や装飾によって「微妙に厚い」と感じることがあります。
- 電波干渉: 金属素材がICチップやタッチ決済の通信を妨害し、読み取りエラーを起こす場合があります。
決済端末を壊さないための「優先順位」
お客様から金属カードを預かった際は、以下の順番で決済方法を提案・試行するのが最も安全です。
1. 【推奨】タッチ決済(コンタクトレス)
最もトラブルが少ない方法です。 カードを端末に差し込む必要がないため、詰まる心配も、端子が傷つく心配もありません。
- 対応: カード券面に「波のマーク」があれば利用可能です。
- オペレーション: 「タッチ決済でよろしいですか?」と一言添えて、端末にかざしてもらいましょう。
2. ICチップ読み取り(差し込み)
タッチ決済ができない場合は、ICチップでの決済を行います。ただし、**「ゆっくり、慎重に」**差し込んでください。
- 注意点: 差し込む途中で「キツイ」「抵抗がある」と感じたら、無理に押し込むのは厳禁です。抜けなくなります。
3. 【非推奨】磁気スワイプ
カード側面の溝にスライドさせる方法は、極力避けましょう。 金属のエッジで端末の読み取りヘッド(磁気ヘッド)を傷つけたり、カード自体の塗装が剥げてしまうリスクが最も高い方法です。
端末タイプ別の注意点
お使いの決済端末によって、金属カードへの耐性が異なります。
モバイル型リーダー(Airペイ、Squareリーダーなど)
白い小型のカードリーダーは、軽量化のためにスロット(挿入口)が非常にタイトに設計されていることが多いです。
- Squareの公式見解: 金属カード利用時は、カード挿入時にリーダーが動かないよう手で押さえ、ゆっくり挿入することを推奨しています。
- 注意: 無理に入れるとリーダー内部のピンが破損しやすいので特に注意が必要です。
据え置き型端末(stera terminal、Verifoneなど)
Panasonic製の「stera」や、海外製の大型端末は比較的耐久性が高く、スロットにも余裕がある場合が多いです。しかし、やはり「無理な押し込み」は故障の原因となります。
もしカードが抜けなくなったら?
万が一、端末からカードが抜けなくなった場合は、絶対にペンチや工具で無理やり引っ張ってはいけません。
- 左右に少しだけ揺らす: 力を入れず、ほんの少し左右に動かしながらゆっくり引きます。
- サポートに連絡する: それでも抜けない場合は、決済代行会社のサポートセンターへ連絡してください。無理に抜いて端末内部を破壊すると、高額な弁償(損害金)が発生する可能性があります。
まとめ:一番の対策は「タッチ決済」への誘導
金属カードを持つお客様は富裕層であることが多く、店舗としても丁重に対応したい相手です。
「機械の故障でお客様をお待たせしないため」にも、金属カードが見えたらまずはタッチ決済を案内することを店舗のルールにしておくと安心です。
スマートな対応は、お客様への安心感にもつながります。

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