キャッシュレス決済の導入に伴い、カードリーダーや決済専用端末を購入・契約する店舗が増えています。しかし、経理処理をする際に迷うのが**「この端末代、どの勘定科目を使えばいいの?」**という点です。
実は、決済端末の勘定科目は**「金額(いくらで買ったか)」と「契約形態(購入かレンタルか)」**によって変わります。この記事では、パターン別の正しい仕訳方法をわかりやすく解説します。
目次
1. 端末を「購入」した場合
SquareのリーダーやAirペイのカードリーダーなど、端末を買い切った場合は、その購入金額によって科目が3つに分かれます。
① 10万円未満の場合 → 「消耗品費」
ハンディタイプのモバイル端末や、iPadなどのタブレットは、多くの場合この範囲に収まります。
- 科目: 消耗品費
- ポイント: 資産として計上する必要はなく、買ったその年の経費として全額計上できます。最もシンプルな処理です。
② 10万円以上〜30万円未満の場合
高性能な据え置き型端末や、POSレジセットなどが該当します。
- 青色申告(中小企業・個人)の場合:消耗品費 または 工具器具備品
- 特例(少額減価償却資産の特例)を使えば、年間300万円までは一括で経費にできます。
- 白色申告の場合:工具器具備品
- 資産として計上し、数年に分けて減価償却をする必要があります(一部例外あり)。
③ 30万円以上の場合 → 「工具器具備品」
大型の自動釣銭機付きPOSレジなどが該当します。
- 科目: 工具器具備品
- ポイント: 固定資産扱いとなります。「5年(一般的な電子計算機等の法定耐用年数)」に分けて減価償却を行い、少しずつ経費に計上していきます。
2. 端末を「レンタル・リース」した場合
初期費用を抑えるために、サブスクリプションやリース契約で端末を利用している場合です。
レンタルの場合 → 「賃借料」
月額数千円を支払って借りている場合は、**「賃借料(または地代家賃)」**として毎月経費計上します。
リースの場合 → 「リース料」
リース会社と契約している場合は、**「リース料」**を使います。ただし、契約内容によっては「売買処理(資産計上)」が必要なケースもあるため、契約書を確認するか税理士への相談が必要です。
3. 忘れてはいけない「手数料」の仕訳
端末本体以外にも、毎月発生する費用があります。これらも正しく仕訳けましょう。
- 決済手数料(3.24%など): **「支払手数料」**または「売上値引」。
- 売上から差し引かれて入金される場合でも、帳簿上は「売上」と「支払手数料」を分けて記帳するのが原則です。
- 通信費(SIMカード代など):「通信費」。
- モバイル端末用にSIMを契約している場合は、スマホ代などと同じ扱いです。
まとめ:10万円未満なら「消耗品費」でOK
まとめると、多くの個人店や小規模店舗が導入している数千円〜数万円のモバイル決済端末は、**「消耗品費」**として処理して問題ありません。
ただし、10万円を超える高額なセットを購入した場合は、青色申告かどうかで節税効果や処理が変わってきます。高額な投資をした年は、一度税理士に相談することをおすすめします。

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